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私の担当患者さんの中には何人か重症の歯周病患者さんがいます。
元々は私は担当していなかったのですがたまたまその日クリーニングを担当させていただいた時に
「この方、このままでいいのかな?ううん、いいわけないよね。どうしてこうなった?」
から引き続き担当につながるパターンが多いです。
いわゆる「妥協的メンテナンス(治る見込みがない人のメンテ)」で毎回歯科衛生士の担当も違い流れでクリーニングを続けてきた人。
治る見込みがないのはレントゲンを見ればわかります。
ここまで重症化したものを私がみていけるのか?と思う気持ちもあります。
だけど私まで妥協してしまったら誰が今後この患者さんの健康を守っていくのか…。って思ったんですよね。
それなら自ら担当をさせて頂いた方が良いと思ったんです。
担当させていただいてわかった事。
…真面目なんですよね。
遅刻も当日キャンセルもない。
なによりもコロナ禍の中を一時間かけて通ってくださるお気持ちがあるのならその時点でこの方は決してモチベーションが低いわけではないということ。
・ただ、ご自分の状態を把握されていなかっただけ。
・今の状態が普通ではないと知らなかっただけ。
・やるきがなかったのではなく「本当に知らなかっただけ。」だから治ろうと心動かなかっただけ。
・そしてその原因は私達がきちんとご本人に伝えきれていなかったため。この方と向き合えていなかったため。
1回のチェアタイムの内容を充実させることに意味があると思います。
忙しさに負けてメンテナンスの内容まで妥協してはいけないと再認識。
4回目、私が担当させていただいてから炎症が少し治まってきた。まだまだ延命治療の部分や炎症を起こしている部分があることは否めませんが患者さん自身がご自分のために少しずつ前向きに動き出した。
ご自分でできる事をきちんとしてきてくださる。
そして初めて笑顔が見られた。
ここから良い方向へ…。きっと良い方向へ道を作る。
確かに今後残していくのが難しい歯も何本かあります。
ただ全部が手遅れなのではないのは確か。
それなら私は「まだ妥協するべきではない。」
と思うのです。
最近になって新人ちゃんのある1人が言ったことば。
「この患者さん、私が歯周病の初期治療をしたんですけど多分もうなおらないんですよね。治療に移行したんですけど…。もう私、担当じゃなくていいや。」
聞いた時になんだかさみしくなってしまいました。
ただこればかりは言葉で言っても経験していかないとわからないのかな?
本当の意味であなたを育ててくれる患者さん達と巡り会えることを願います。
私は私を育ててくれた患者さん達に今でも感謝しています。なんとか治してあげたい。そう強く思える方とのご縁があった事に本当に感謝です。
その時の経験があって今がある。だから簡単に妥協できない。と思ってしまうのです。